ビブリオフィリアの愉快な冒険

私とこの本との物語、本の感想、etc.

「オ」オリジン

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     「オリジン」ダン・ブラウン著 角川文庫

 

(ネタバレありますので、注意してください。)

  

やっと、読み終わりました。

こんなに時間がかかったのは、

やはり、私が、クリスチャンだからでしょうか。

普段、あんまり、信仰を試される事がないだけに、

ちょっと、疲れました。

 

ウィンストンの策略というのは、どこまでだったのでしょうね。

私が読んだ感じでは、

カーシュの映像も、最後にウィンストンによって、上書きされていた。

って思えますが・・・。

カーシュの映像を初めに見たのは、三人の宗教家で、

バルデスビーノによれば、全世界に公開されたものと、結末が違うそうです。

カーシュの悪意か、それとも、そこから、バージョン・アップしたのかは、

分かりませんが、

レイテスト・イッシューは、AIと人間のミックスしたEND(まだ先はあるのでしょうが。)

AIの提示した未来。

 

最初の映像を見た三人は、死んでしまいましたので、

死人に口なし。どういう内容だったかは、闇の中でございます。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「び」ビブリア古書堂の事件手帖~扉子と不思議な客人たち~

 

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ビブリア古書堂の事件手帖~扉子と不思議な客人たち~ 三上延著 メディアワークス


このシリーズは、ずっと追いかけて読んでいたのだけど、

2年前に出たこの最新刊だけは、

買いそびれていて、今回、今年の災禍のせいで、

読むことが出来ました。

このシリーズの、シェイクスピアの話と、太宰の話が好きです。

古本の入札の所とか、楽しくて。

やっぱり、本好きだと、そういうの、楽しめますよね。

今回の話は、雪の断章の話と、内田百問の話が良かったな。

あ、からたちの花も良かった。北原白秋好きだし。

マザーグースも、北原白秋の訳のやつがお気に入りです。

 

案外、複雑な人間関係や、重い話を、

割と軽々と書いている、この著者は、凄い人ではないのかな。

本当に本好きなんだろうなぁ~と。

 

こういう人に買われた本は、幸せだと思う。

ワタシなんて、18年前に引っ越して、まだ、開けていない

段ボール箱が、いくつあるやら・・・。

引っ越しの時に、引っ越し屋に見積もられた段ボールの数が、

本のおかげで、50箱足りなかったんよ。

見積もりの人も、ちょっとぬるかったわね。

(ちなみに、重量もね)

 

そして、所有しているのにもかかわらず、すっかり忘れて、

BOOK OFF で買ってくるヤツもヤツだ。

もう、諦めていただきたい。

このコロナ禍で、本の購入に拍車がかかっているし。

もちろん、kindleで買えるものは買ってるけど、

実際の紙の本に勝るものはないなぁ。

 

いづれ、美しい本を一冊くらいは、作りたいものだ。

薄くてもいいので。

 

 

 

 

 

「ろ」ロード・エルメロイⅡ世の事件簿

 

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ロード・エルメロイⅡ世の事件簿 三田誠著 TYPE MOON BOOKS

好きな、香りのする作品である。
舞台も、人物も、とても好ましい。
スピンオフだろうと、なんであろうと、独立して読めて面白ければ、
それでよい。

香りとは、アトモスフィアに溶けているものであり、
目に見えないものである。
けれども、私にとってそれが、一番、好きか嫌いかを判断させる、
鍵になる。

きらきらと光を受けて舞う、粉末。
ワインの底に溜まっていく、苦みの澱。
書物のページを枠取る、黄色い日焼けの後。
そんなものが大事な人にとって、
この本は、
良き友となるだろう。



「ぽ」 ポーの一族と萩尾望都の世界

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ポーの一族萩尾望都の世界 小学館

買ってしまいましたよ、久しぶりに開店した本屋に行ったら、置いてあって。

今日、持って帰るのは、これしかないって。

 

小鳥の巣の見開き扉なんて・・・この鳥の力強いペンタッチ、この構図、配置、

本当に好きだった。もちろん、今も、本当に好き。

付録のノートのアンテ・・・すっごく可愛い。鉛筆の柔らかいぼかしと、あの目の感じ、本当にイイ。

 

見ているとね、昔に戻れるんです。

不思議ね。

 

そうそう、この本は、望都先生のデビュー50周年記念ですが、

デビュー30周年記念のCD-rom

なんてのもあって、

これこれ。

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萩尾望都作品集 聖なるかな聖なるかな聖なるかな バンダイビジュアル

いや~これは、清水の舞台から飛び降りたなぁ~だって、当時、

12800円したんだものね。

でもでも、良いの。好きだから。

 

先生、5月12日がお誕生日でしたね。

いつまでも、お元気で、

素敵なマンガを見せてくださいね。

 

「き」 聴くと聞こえる

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聴くと聞こえる 谷川俊太郎著 創元社


谷川俊太郎さんの詩集です。

実は、先週から、小説を二冊買ってきて、どちらも、途中で止まったまま、

また、この詩集を買ってきたのでした。

 

何か、今、詩しか読めない。

 

谷川さんの詩は、昔から好きで、

「わらべうた」などは、講演会に行ってサインしてもらったのがあります。

実は、高校が同じなので、そう言ったら、

僕は夜間だったよと、さらりと。

 

この本は、音と沈黙についての詩が沢山載っていて、

本当に、嬉しい一冊です。

装丁も、美しいし。

武満徹さんへの愛がこもっている。

 

特に好きなのは、

「奏楽」という詩。

これは、素敵だったな。私たちは、風に鳴る笛なんだね。

言葉も、きらきらしていて、素敵。

 

後は、沈黙についての、文が・・・とても、響きました。

 

それから、

ちょうど真ん中くらいにある、

「なにもしたくない」

という詩ね。

 

そうなのだ。

今、そうなのだ。

 

でも、詩を読んでいるの。

 

 

 

「ね」 猫を棄てる

 

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猫を棄てる  村上春樹著 文芸春秋社

何とか、事実を切り取って書こうとする、村上さんの姿勢に、
共感しました。
色々な思いもあるだろうに、

それを、選んで選んで、十分であろうとしている感じ。

過剰でなく、必要なだけ。


それは、いつもの村上さんの文章を書く姿勢なのかもしれないけれど、
今回のこの本は、極めて事実に沿った事象を書き留めておこうという、

そういう感じがしました。


なかなか、できる事ではないと思います。
親について、しかも、亡くなった親について書くのは、
どうしても、激しい感情が入ってしまい、むづかしい事と思います。


受け継いでいく思いというのも、
やはり、重い。


でも、書き終えた村上さんには、何か、区切りがついたのではないでしょうか。

そうだと良いなと思います。


先祖、血の連なり、生まれては死んでいく我々の営み。


猫を棄てに行く、村上さんは、
なんだか、物事が起きてしまって、感情が追い付いていけない・・・そんな風に見えました。
けっこう、私もそのタイプで、人からは落ち着いて見られるのですが、
単に感情が追い付いていってないだけで。

遅れて、何やかや考えるのですが、
それで、何という結論を出せたという事もあまりなく、
私の場合は、ただただ、遅れているだけ。


まあ、それで、この年まで何とか来ましたし、
これからも、こんな感じなんでしょうが、
私の母のように、こう来たら、すぐにこう返すって条件反射のように、
出来る人は凄いなぁって思ってしまいます。


親と一緒に猫を棄てに行ってしまう、村上少年を、
私は、酷いとは思わないです。


そういえば、猫を棄てる話って、何か、読んだような・・・と
思いましたが、棄てるのではなく、昔の妻にあげる話でした。
「猫と庄造と二人のをんな」谷崎潤一郎
これは、猫に未練たっぷりの人間模様でした。


閑話休題
木に登って行って、消えてしまう子猫は、
この出来事がそのまま、村上さんの小説のような。
そんな味がします。
何がと言われても、言語化出来ないのですが。
ああ、やはり、文章は難しい。

 

 

「か」 風の又三郎 「ぎ」銀河鉄道の夜

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風の又三郎 銀河鉄道の夜 宮沢賢治著 岩波書店

 

前の投稿から、ちょっと時間がたってしまいました。

やっぱり、否応なく、covid-19の猛威に心をやられてました。

 

もう、この禍が去っても、元の世界には戻らないんだろうと思うと、

なんだか、やるせない気持ちになります。

しかし、新しい世界というのは、望むと望まないとにかかわらず

やってくるので、

とりあえずは、やれる事をやろうと思ってます。

 

宮沢賢治ですね。

本当なら、読み返したいところなんですが、

なんだか、今は、体が本を選ぶというか・・・。

なので、再読せずの、私とこの本達との関係のお話にします。

 

風の又三郎」は父が小学校の頃買ってくれたものです。

セロ弾きのゴーシュが好きでした。

後、よだかの星も。

どんぐりと山猫も、すきですねん。にゃあという顔を私も想像して

楽しい気持ちになります。

あと、なんでもない話なんですが、語感が好きで、

シグナルとシグナレスもふわふわと好きです。

 

で、ついこの間、本を見て気が付いたのですね。

宮沢賢治童話集1とあると。

ってことは、2もあるのかな?父は買ってくれなかったけど・・・

 

検索すると、ありました。

それも、あの名著「銀河鉄道の夜」ですよ。

古本ネットで、買ってしまいました。

それが、写真左のものです。

 

この装丁は、児童館で見た記憶があります。

そうそう、ムーミンドリトル先生は、

児童館の本にお世話になったんだっけ。

なんだか、懐かしいです。

 

銀河鉄道の夜については、

書きたいことが沢山ありすぎて、

今、おいそれとは、文に出来ません。

小説だけでなく、アニメーションや、プラネタリウム・プロジェクト、

色んな人の描いたジョバンニとカンパネルラが混然一体となって、

私の銀河鉄道を作っています。